第2話
飛鳥と話しながら学校へ向かう。
学校まではそれほど遠くはなく、徒歩で20分ほど歩けば着く距離だ。いつもは自転車で行ったりもするのだが、今日は時間も余裕があるので自転車を押しながら歩くことにした。
蒼「そーいや飛鳥さあ、さっき何の本読んでたの?」
飛鳥「最近買ったミステリー小説。今回の結構当たりかも。」
蒼「飛鳥昔からそう言うの読むの好きだよな。」
飛鳥「蒼も好きじゃん。」
蒼「俺は色んなジャンル読むからさ。でも飛鳥はファンタジーとかそんな好きじゃないもんね。」
飛鳥「よくご存知で。」
蒼「そりゃ幼馴染ですから。」
飛鳥「あー、早く続き読みたい〜。蒼、やっぱ自転車漕いで。後ろ乗せて。」
蒼「はぁ・・・。ほら、乗って。ちゃんとつかまっとけよ。」
飛鳥「ん、ありがと。」
飛鳥を後ろに乗せ、自転車を漕ぎ始める。気持ちいい風が全身を吹き抜ける。
自転車に乗ってる間も、たわいもない話をした。
10分後、無事学校に到着する。が、正門前で生徒指導の先生に2人乗りが見つかり、怒られる。
自転車置き場に自転車を止め教室へ向かう途中で、校舎の入り口に大きな掲示板があるのを見つけた。
そこで蒼はようやく気づいた。飛鳥がいつもより俺の家に早くきていたのは、クラス替えが楽しみで早く行きたかったからなのだと。
蒼「あー、そっか。今日からクラス変わるのか。もしかして飛鳥・・・。」
飛鳥「なに、悪い?」
蒼「何も言ってないじゃん。」
飛鳥「顔見たらわかる。」
蒼「そうですか。えーと俺は・・・あった、Aクラスか。って飛鳥もAじゃん、よかったn・・・。」
隣の飛鳥を見るとニヤけているのがわかる。しばらく見ていると飛鳥が視線に気づく。
飛鳥「な、なに。」
蒼「いや、なんか嬉しそうだなと思って。」
飛鳥「べ、別にそんなんじゃないから!しーさんとかがいたからってだけだから!」
蒼「分かったよ。ほら行くぞ。」
飛鳥と2人で教室へ向かう。
蒼「おはよ〜。」
???「あ、やっと来た!遅えぞ!」
蒼「蓮、朝から声でけえよ。」
蓮「いやー、そりゃ声もでかくなるってもんよ!なんせ最後のクラスでまたお前と翔と一緒なんだから!」
蒼「翔は?もう来てんの?」
蓮「後ろ。」
蒼「ん?あ、翔。おはよ。」
翔「おはよ。また3人同じクラスだな。」
蓮「2年の時は3人とも離れてたしな〜、ほんと良かった!な!」
蒼「そうだな。」
翔「だな。齊藤さんもよろしくね。」
飛鳥「よろしく。」
蓮「相変わらず蒼以外には冷たいねえ〜。」
蓮がそう言うと飛鳥が冷たい目で蓮を見る。
蓮「あ、あー!俺ちょっと隣の教室見てくるわ!じゃ!」
飛鳥の視線に恐怖を感じたのか、逃げるように教室を出て行く蓮。
飛鳥「・・・はぁ。」
蒼「まあまあ、蓮はあー見えてもいい奴だから。それに翔もね。」
飛鳥「それくらいわかってる。蒼が仲
良いんだもん。」
蒼「みんなで1年楽しもうな。」
そう言って飛鳥の頭を撫でる。
飛鳥「そ、そういうの恥ずかしいからやめて!」
蒼「ごめんごめん。」
翔「・・・・はぁ。」
翔は何か言いたそうにしていたが、何も言わずに自分の席に座った。
蒼も自分の席に着く。といってもうちの学校では、クラス替えの最初の席は自由に選べるので、蒼は窓際の後ろから2番目の席に座った。
蒼「あれ、飛鳥俺の後ろでいいの?黒板見える?」
飛鳥「いい。黒板もちゃんと見えるよ。それにしーさんたちまだ来てないし、どうせこの辺来ると思うから。」
蒼「まぁ、そうだな。にしても白石遅くないか?いつもならもっとはy」
???「「間に合ったー!」」
大きな声が聞こえてきたので扉の方を見ると、白石と松村が息を切らしながら教室に入ってきた。
飛鳥「あ、しーさん来た。」
白石「あ、飛鳥だー!一緒のクラス嬉しい〜!あ、蒼くんも一緒なんだね!よろしくね〜!」
飛鳥「ふふっ、よろしく。」
蒼「よろしくね白石。」
松村「ちょっと!飛鳥もあおちゃんも、まっちゅんも忘れんといてや!」
蒼「忘れてないって。てか2人ともギリギリに来るなんて珍しいね?」
白石「そう聞いてよ!朝自転車で来ようとしたらまさかのパンクしてて、まっちゅんに連絡したら、まっちゅんもパンクしてるって言うんだよ!こんなことある?おかげでめちゃくちゃ走ったよ!」
松村「まいやん走るの早いから、まっちゅんついて行くので精一杯やったんやで!」
白石「ごめんごめん!でも間に合ったから許して!」
松村「ふふっ、許す〜!」
白石「ありがと〜!」
夫婦漫才を見ているようだった。
飛鳥も2人のやりとりを見て笑っている。
その時、蓮が慌てて戻ってきた。
蓮「ビッグニュースビッグニュース!」
松村「あ、蓮くんやん、そんな慌ててどしたん?」
蓮「あ、松村と白石も同じクラスか。よろしくな!じゃなくて!さっきたまたま職員室通りかかったら、見たことない可愛い子がいたんだよ!」
蒼「蓮が見たことないってそんなことある?女の子なら後輩の顔まで全員覚えてるあの蓮が?」
蓮「ほんとなんだって!誰に聞いても知らないって言うし、もしかしたら転校生かも!」
白石「あ、でもそーいやさっき来る時、それっぽい子みたかも?急いでたからちゃんとは見てないけど。」
松村「うそん!まっちゅん見逃してたわ!」
蓮「ほらな、そうなんだって!どのクラスに来んのかな〜?もしかしてうちとか!?」
蒼「まだ同じ学年って決まったわけじゃないだろ。いいから席座れよ、チャイム鳴るぞ。」
蓮「ちぇー、テンション低いなぁ。」
数分後、チャイムが鳴ると同時に先生が入ってくる。
???「お前ら席つけー。えー、今日から1年間このクラスを担当する設楽です。細かい挨拶とかは無しにして・・・まぁ、最後の1年悔いのない学校生活を送ってください。あ、受験は頑張れよ!」
設楽先生の挨拶が終わったと思ったその時。
設楽「えー、実は今日からこのクラスに転校生が来ました。西野、こっち。」
設楽先生がそう言うと扉から1人の女の子が入ってくる。蓮の反応を見て、蒼は直感的にこの子が蓮の言っていた子なのだと分かった。
設楽「じゃあ、自己紹介して。」
???「初めまして、大阪から来ました、西野七瀬です。」