第24話
智大と橋本の練習を見るために白石の練習していたグラウンドを出て体育館へ向かう僕と西野。
正直心配だったが
「ななみんたち見れへんくなってまうで!早くいくで!」
僕を急かす西野によってその不安は一旦心の隅へ追いやられたのであった。
体育館へ着く。
中からはバスケットボールをついている音やバレーボールを打つ音が聞こえる。
中に入ると手前のコートでバスケットボール部が練習していた。
「邪魔になるから二階のテラスから見よっか」
「そうやな!」
そういうわけで二階に上がりテラスから橋本と智大の姿を探す。
白石の時とは違い2人はすぐに見つけることができた。
橋本はコートのすぐ脇でストップウォッチを片手に練習を見ていた。
そして、入りたての智大はというと、1年にもかかわらずこちらも白石と同じく5on5に入って試合をしていた。
中学も智大はバスケをやっていてポジションはスモールフォワードだった。
中学の時、智大の出る試合を時々観戦しにいっていたから分かるがやはり高校になるとレベルが数段上がる。
パスのスピード、ドリブルの鋭さ、シュートの精度、どれを見ても中学バスケとは比べものにならない。そう感じた。
そんな中、コートの真中あたりで智大にボールが渡る。
上級生と思われる選手がディフェンスにマンツーマンで入る。
が、それをフェイント1つで軽々とかわし一気に加速。その勢いで更に2人を抜き去りレイアップを決めた。
「え、智大めちゃくちゃうまいやん。まいやんと言い智大と言いなんでみんなこんなにうまいん…」
「実は智大さ中学の時バスケでスポーツ推薦もらってたんだけど、それを蹴ってこの学校に来たんだよねぇ。」
「え!そーなん!?なんでそっちいかんかったんやろ…」
そんな会話をしているとゲームの終了を知らせるホイッスルを橋本が吹いた。
水分補給に引き上げながら先輩とにこやかに話をする智大が見えた。
やっぱり流石のコミュ力だなぁ。そう感じた。
「あ!直樹じゃん!なあちゃんも!」
テラスで練習をしている僕たちに気づき声をかけてくれる橋本。
「ななみーん!見に来たで!それより、智大めちゃくちゃうまいやん!すごいなぁ!」
「そうそう、私も最初びっくりした!期待の新人なんだよ!」
「橋本、それは言い過ぎだろ!」
水分補給を終えた智大が僕たちに気づきこちらへやってくる。
「智大、やっぱりさすがだね。」
「だろ?でも最初はすげぇなまってて取り戻すの大変だったわ」
「私たちもうこれで片付けて練習終わりなんだけど2人一緒に帰らない?あと30分くらいかかるけど…」
「じゃあ待っとくよ!西野も時間大丈夫だよね?」
「大丈夫やでー!」
「じゃ、待っとくね。」
「はーい、急いで片付けてくるね!智大ー、早く動く!動く!」
「もう、疲れたわぁ」
「うるさいうるさい!早く歩いてー!」
そんな会話をしながら橋本が疲れて動かなくなった智大を引っ張っている。
随分と仲良くなったなぁ。見ていてそう感じた。