第6話
僕は今、自宅のベッドに横たわっている。
ものすごく気分が悪い。
理由は簡単だ。あの後4人でファミレスに行き全員がドリンクバーを頼んだのだが、それが失敗だったのかもしれない。
1日で一気に距離が縮まったからか、僕に対するドリンクバーでのいたずらが始まった。
最初はもちろん智大だった。コーラとコーヒーを混ぜたのだ。色が似ているため気付かず口に含んでしまった僕はあまりの不味さに吹いてしまった。
普通なら、驚くはずなのだが3人は大爆笑。どんどんエスカレートして行き最後にはもうわけのわからない液体と化していた。
解散し家に着いた後もそのせいか気分が悪いままなのである。
「お兄ちゃん大丈夫ー?」
優菜が水と整腸剤を持ってきてくれた。
優菜というのは僕の2歳年下の妹である。
「ありがとう…」
「ほんと、馬鹿だよね。はぁ。もう高校生でしょ?やってること中二男子と変わらないよ?」
「はい。すいません…」
そんなことは俺じゃなくて三人に言ってくれ。と心から思ったが、反論ができるような気力は残っていなかったのでやめた。
「じゃあ、私買い物行ってくるから。今日はもう私1人で行ってくる。」
「ごめんな。頼んだ。気をつけてな。」
「はーい。お兄ちゃんは大人しく寝とくこと!」
そう言い残して優菜は買い物へ行った。
僕の家庭は少し変わっている。
幼い頃に母親を亡くし僕たち2人は父親によって育てられた。
いや、父親という表現は間違っているかもしれない。
正確には父親の雇った家政婦さんのようなものだ。
僕の父親はそこそこ大きい企業の社長である。
そのため母親が死んだ後、生活的にはあまり不自由することは無かった。
去年までは僕と妹の二人暮らしをその家政婦さんが母親代わりとなって家事をしてサポートしてくれていた。
だが、家政婦さんも僕たちが自分のことは自分でできる。と父親に言った為契約を切り、去年からは僕たちは2人で暮らしていて家事も自分たちでやっている。
とは言っても、妹があまりにしっかりしている為家事の七割は妹がやってしまっている。
僕がやるのは料理と掃除を少しやる程度だ。
まだ中2なのに申し訳ないなと思うときもあるのだが、本人が母親に似たのか家事をやることを好き好んでいるので本当にありがたく思っている。
普段、僕に対してすこし口が悪かったり存分にドS具合を発揮してくることが多い優菜だがとても優しいやつだ。
そんなことを考えながらベッドに横たわっていると、携帯の通知が鳴った。
ラインの通知だ。
白石麻衣 - 内田くん大丈夫?ちょっとやりすぎちゃったかも…本当にごめんね。
橋本奈々未 - ちょっと仲良くなれたのが嬉しくて私もやりすぎちゃった。本当にごめん!
西井智大 - 俺も普段のノリでやりすぎたわ。まじですまん!
4人のグループだ。
みんなから謝罪のラインが来ていた。
内田直樹 - 三人とも気にしないで!胃薬飲んだら速攻治った!!
白石麻衣 - そっかぁ。良かったぁ。ごめんねほんと。
橋本奈々未 - ごめん。以後気をつけます…
西井智大 - 俺も気をつけるわ。ごめんよ。
内田直樹 - まぁそれはありがたいけど、あんまり気を使うのはやめてね!笑今日みんなと仲良くなれて嬉しかったからこのまま仲良くしてたいし!
白石麻衣- うん!わかった!
橋本奈々未 - おっけぃ。了解でーす!
西井智大 - あたまえよ!じゃあみんなまた明日なー
内田直樹 - はいよー
今日一日色々ありすぎた。
明日からも楽しくなりそうだ。