第13話
「ふぅ、こんなもんかな。」
10分でできる朝ごはんを考えた結果、パン、目玉焼き、サラダ、ヨーグルトにコーヒーという典型的なメニューになった。
普段、優菜と自分の分の食事を作っているためこの程度は容易いものだ。
ちょうど完成したところに橋本がなかなかの物音を立てながら来た。
「ごめん!お待たせ!ってすごっ!たったこの時間でこんなに作れるの!?」
「あー、僕妹と2人で暮らしてるからさ料理とか家事全般やらなくちゃいけないんだよね。ってそんなこといいから早く食べる!」
というと急いで食べ始める橋本。
「ふふっ、なんか直樹お母さんみたいだね?」
「それ褒めてるの?」
「褒めてるよ?」
少し笑いながらいう橋本
「ちょっとバカにしてるでしょ!」
「うん、ちょっとね」
笑いが起こる。
「1つ思ったんだけどさ」
「ん?」
「駅に集合するの6時くらいだったよね?ここまで来るの30分もかからないと思うんだけど、なんで来た時もう8時回ってたの?」
「え、ええと、まぁ…」
『道に迷ってたなんて言えないなぁ…』
そう、起こす係を引き受けたはいいものの安定の方向音痴を発揮し集合した駅からまず逆の方向に向かう電車に乗ってしまうという失態を犯してしまったのだ。
もちろん、それに気づいて橋本の家の最寄駅に着いてからもめちゃくちゃ迷いましたが…
僕が言いずらそうにしているとわかったような顔をして橋本が口を開いた。
「あー、また道迷ってたんでしょ?」
「ばれました?」
「入学式の日もそうだったもんねー流石だねぇ、直樹の方向音痴は…」
「うるさい!うるさい!さっさと食べる!」
「へいへい」
ふっと笑うと再び食べ出す橋本。
「ようやく食べ終わったね。じゃいこっか。」
「まいやんたちに謝らなきゃねぇ」
「え、なんで僕も!?」
「だって30分でこれるところを2時間かかってるんだよ?」
「あ、。」
「早く行かなきゃね!」
遅刻し慣れてるやつは謝り慣れてそうだな。という言葉は飲み込んだ。
富士急までの道のりはなんとか橋本のおかげで大丈夫でした。