第11話
無事、西野の作品も土曜1日を活用することによって完成したようで全員で富士急へ行くことが決定した。
朝、最寄駅で集合することになった僕達。僕達の住むところから富士急までは2時間ほどかかることと西野の異様な張り切り様によって始発で行くことになった。
「あとは、橋本だけか…」
集合時間の五分前である。
『そういえば、橋本朝弱いって言ってたよな…』
嫌な予感がする。
そんなことを思い、周りを見回すと白石と目が合う。
彼女もおそらく同じことを考えていたのだろう。さすが中学から一緒なだけある。
「ななみん、多分だけど寝てるよね…」
「だよね。僕もそう思う。」
「えっ、それは困るなぁ。ななみんの家ってここから近いん?」
とても楽しみにしていた西野が少し悲しそうに口を開く。
「うーん、だいたい30分くらいかな?」
「白石。一回、電話してみたら?」
「そうだね。かけてみる!」
でない。
「もう多分。これは家まで起こしに行かなきゃのパターンかもねぇ…」
白石が言うのだから多分そうなんだろう。
「じゃあ、僕橋本の家までいってくるよ。白石住所教えてもらってもいい?みんなは先行ってて?後から合流しよ!」
正直、西野の楽しみにしていた様子を見ると待たせるわけにも行かないと思い口を開いた。
「え、でも悪いよ…私行った方が早いし私行くよ??」
白石が申し訳なさそうに言う。
「いやいや!今回のチケット取ってくれたの白石だしさ!僕が行くよ!」
「直樹が行くって言ってくれてるんだし今回は甘えてもいいんじゃない?」
申し訳なさそうにしている白石と西野を見かねて智大が助け舟を出してくれた。
「うん。そうだよ!じゃ僕行くから橋本の住所とチケット二枚だけもらってもいい?」
「うん。わかった!直樹ありがとう!」
「ありがとう!」
そういったわけで僕は駅で3人と一旦別れて電車に乗り橋本の家の最寄り駅まで向かった。