Summer Dream
ビー玉
02
そして今日彼女と初めて迎える初めての夏。
待ち合わせした 神社の石段 に早くつきすぎた。
だって1時間前に来てしまったんだから。
緊張してたなんて悟られないように平静を保つにはそのくらいの時間が必要だった。
待ち合わせ時間になると周りのお客様も増えてきていた。
合流できるか不安なくらいの混み具合。
だけど大丈夫。
だって「カタカタ」合図で すぐにわかるよ 美彩がきたことを!
受験生でもある美彩、勉強する時間を大切にしてほしいと会う頻度は少し減っていたが連絡は取っていた。
「お待たせ!太陽。」
そこには真っ赤な浴衣をきた美彩がいた。
正直言葉が出ないくらい綺麗だ。
そんな俺の顔をのぞき込みながら
「あ、私の浴衣姿に見とれちゃった?」と意地悪な顔をしながら聞いてくる。
「うん。綺麗すぎだよ。また惚れちゃった」
「もう!」
なんてやり取りをしながら屋台を周り満喫していた。
ふと腕時計をみると花火開始1分前になっていた。
「美彩、ちょっと来て!」
そして夜空の下 手をつないで 砂利道走り抜ける僕等に
遠く聞こえてる花火達の音がセツナク響いた
やっべ。最近調子良かったのに。またやったわ。
なんとか花火の見えるスポットにたどり着いたがもう後半戦になっていた。
僕の気持ちを汲み取ってくれたかのように
「わぁ!花火綺麗だねぇ」
なんて優しいんだ。
美彩には迷惑かけてばっかりだ。
「もういやだ」 こんな気持ち
君の後姿見る僕に
流れ星の様に つたう雫には 全てが映った
花火を見ながらふと美彩を見ると涙を流しながらとても悲しそうな。だけどどこか満足している顔をしていた。

「ごめん美彩!来年こそはちゃんと最初から見せられるようにするから」
そうだ。まだチャンスはある!
明日だって来年だって。美彩と一緒にいつまでも・・・・・
俺は美彩の心の悲しみに気付かぬまま
夏がおわり、来週には紅葉が見頃を迎える時期になった時
美彩は亡くなった。
なんでも高校2年の夏に患った原因不明の病気だったらしい。
家族のみ知ってることでおれはもちろん彼女のクラスメイトすら知らないことだった。
突然の出来事に通夜すらでず部屋に閉じこもる日々になっていた。
なんとか高校は卒業したがあの日最後に美彩に会った神社には近寄れなかった。
思い出が溢れ出して苦しくなるからだ。


DBドラゴン ( 2018/07/16(月) 12:34 )