02 因果応報
ショージの号令で先ほどのガタイのいい男が手足を縛られ、口にガムテープを貼られた1人の若い男を担いで現れた。
「サンキュ〜。その辺に置いといて」
「はい」
ショージのまるで、荷物を扱うかの様な指示に男が短く返事をし、若い男を文字通り床に投げ捨てた。
「ン!」
小さく唸った若い男に近付いたショージが口のガムテープを引き剥がし、頬を2.3発張った。
「お〜い!起きろ〜」
「・・・はっ!な、なんなんだお前らは?」
「お、起きたね〜」
「こ、こんな事してただで済むと思ってんのか?僕の父は・・・が!」
「今しゃべってんのは俺だよな?少し黙れ」
気絶から若い男が目覚めまくし立てたが、ショージが頭を掴み顎を地面に叩き付けた。
「で、お兄さんのお名前は?」
「あが・・・が・・・」
口からダラダラと血を流し、声にならない声をだした。
「あががさん?そんな訳ないでしょうよ〜」
「松谷 二郎。年齢19・・・いえ、日付変わり今日が誕生日です」
「マジで!?誕生日なん?二郎ちゃんおめでとう!さんはい」
免許証を読み上げた男の言葉にショージが率先してHappy Birthdayを歌えば周りの連中もそれに続いた。
「お前も晴れて全国デビューや。おめでとう」
歌い終わり松谷に話し掛けた"全国デビュー"とは、実名報道の事だろう。
「さて、ハタチのお祝いに揚げたて串カツでも贈ろうかな」
右手で合図をすると奥から皿に盛られた湯気の上がる串カツが持って来られた。
「う〜んと・・・じゃ、まずは豚から行こか。お、見てみ、これめっちゃデカいやん!」
ショージが手にしたのは、標準よりもかなり大振りの豚の揚げ物。
「はい。あ〜ん」
無理矢理口を開けさせ、揚げたてのカツを口に入れた。
「ん〜ん〜〜」
「え?なに?聞こえないよ〜」
松谷が何かを発そうとするもその声は喉元へと押し込まれた熱々の揚げたてカツにより上手く聞き取れない。
「でもな・・・ お前も無理矢理咥えさせてたよな?お相子とは思わないか?」
松谷の髪を掴んだままショージが冷たい声で問いかけた。