第二章
05 21と15
「・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 騒がしい街と反比例するかの様に2人の間には沈黙が続く。

(気まずいって・・・・・・)

 一応、年上として自分から話を振ったりするべきなんだろうが、いかんせん話題が見つからない。

「え〜と・・・」

「咲良ちゃんは今いくつ?」

 振り絞った言葉はなんとも当たり障りのない質問だった。

「15才です・・・」

「って事は・・・中・・・?」

「中3です、春に高校生になります」

「そうなんや」

「はい・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

 はっきり言って場が持たない。同世代ならともかく6つの下の中学生と一体なにを話せばいいのか全くわからない。そして、どこに連れて行ってあげればいいのかも。

「あ・・・そうや!」

「・・・・・・?」

「咲良ちゃん、たこ焼きってもう食べた?」

「まだです・・・」

「よし!んじゃ、本場のたこ焼き食べよか」

「はい・・・・・・」

 やっとの事で目的地を見つけ出し、戎橋筋商店街へと足を進めた。







 日曜と言う事もあってか商店街はいつも以上にごった返していた。

「人多いな〜。咲良ちゃん大丈・・・・・・あれ?」

 ふと後ろを振り返れば、すぐ後ろにいるはずの咲良が人波に呑まれ数m後方を不安そうな表情でいた。

「ごめんな!」

「よかった・・・・・・。ちょっと、びっくりしました」

 慌てて駆け寄れば彼女も安堵の色を浮かべた。

 足の長さが違えば歩くスピードも違ってくる。そんな簡単な事さえも頭から抜け落ちていたようだ。



「はい」

「えっ?」

 右手を差し出す俺に咲良が困惑の表情を見せた。

「あ・・・・・・ 人も多いしと思ったけど、やっぱり恥ずか・・・・・・」

 差し出された手の意味を理解したのか、言葉が終わる前に彼女の左手が俺の右手を掴んだ。

 掴んだその小さな手からは彼女の心細さみたいな物が伝わってくる気がした。

「んじゃ、改めて行こか」

 彼女の手を引きスピードを落として再び歩き出した。




絹革音扇 ( 2014/01/23(木) 23:33 )