第四章
03
 刑事課へ戻って東山は捜査本部で見た映像の内容を猪瀬らにも説明していた。

「それは許せないね。私たちも本庁の皆さんに遅れは取らないよう頑張ろう」

 猪瀬は静かに怒りを顕にし、他の面々に指示を出した。

「…先輩、聞いてます?」

「ん?……なにが?」

 考え事をしている南に東山が話し掛けたが案の定聞いてはいなかった。

「だから捜査の割り振りっす」

 南の頭には先ほど見た映像が離れずにいる。

「あ〜」

「いや、あ〜って…」

 映像を見た時の胸に引っかかりの正体を探ることしか考えられなかった。

「…あ、チョウさん!」

 一服しようと席を立ち上がった南はちょうど帰って来た蝶野を見つけた。

「西尾君の容態は?」

 南と同じように蝶野に気付いた猪瀬が話し掛けた。

「手術は無事に終わったんだがな……頭を強くぶつけたようでな。意識がまだ戻らんのだわ」

 蝶野の言葉は刑事課に暗い影を落とし、誰一人として動ける者はいなかった。

「でもま、よくそれだけで済みましたね」

「ぶつかる寸前にドアから飛び降りたらしい。状況から見てな」

「西尾さんらしいな」

 重い空気を裂くように南が笑み混じりに発言したが、南と蝶野以外が未だに沈黙の続けている。
 そんな状況に突然、南がパンパンと2度手を打ち鳴らした。

「しけた面いつまでしてるんですか?西尾さんにぶっ飛ばされますよ〜課長も」

「…そうだね。西尾君のためにも被疑者確保しないとね」

 南の発破と猪瀬と言葉で刑事課は再び活気に包まれた。

「させと…行くぞ東山」

「どこにっすか?」

「車で見えない景色も歩けば見えるってな」

「へ??」

「行きゃあ分かんだって。坊っちゃんよ!」

「痛っ!」

 南の言葉を理解出来ずにいる東山の背中を平手で叩いた蝶野は一人ほくそ笑んでお茶を飲んでいた。











「で…結局どこ行くんすか?」

 運転席に座った東山が再度、南に尋ねた。

「そうだな…」

「会いに行ってみようかね……アイドルに」

 地下から車が出て行き南はぽつりと呟いた。






■筆者メッセージ
いや〜楽しかった
今年もCDJ最高でした!

そんな訳で更新はかなり遅くなると思います…楽しみにして下さってる方々には申し訳ありませんが、もうしばらくお待ち下さい


ぶっちゃけ原案ノートが家なんで書き溜め分しかUP出来ませんけどね(笑)
絹革音扇 ( 2013/12/29(日) 04:59 )