第四章
02
 可視出来るほどの熱気に包まれる捜査本部に足を踏み入れた南と東山は会議の中枢となり指示を出す北嶺に躊躇いがちに声をかけた。

「北嶺さん… これ見てもらえますか?」

 北嶺に差し出したのは同封されていた手紙。

「…ん、何だこれは?」

 そこには新聞の切り抜きで"無能な警察へ捧ぐ"と貼られていた。

「それとこれもです…」

「DVDか?すまない再生してくれ」

 東山もDVDを手渡し、北嶺が再生するよう部下に渡した。



『無能なる警察諸君。初めまして。私の名前はゼロ』

 画面に映し出されたのは薄暗いどこかの倉庫の様な場所。そして、顔を隠し音声を変えた人物だった。

『非常に残念だよ。まさか日本の警察がここまで無能でバカだったとはね…』

『まぁいいや、あれを見てくれ』

 ゼロが指差した方向にカメラが向き、大きなアクアリウムと中に横たわる人間が映った。

『見えたか?コイツを殺そうと思うんだ』

『でも……ただ殺しても面白くねぇんだわ。そこで一つゲームをしよう』

『なに、ルールは簡単だ。ここを見つけてみろ。それだけだ』

『見つけたらお前たち警察の勝ち。もし見つけられなかったらお前たちの負け。簡単だろ?バカなお前たちに合わせてやったんだ感謝しろよ』

『そうだな……、制限時間は今日の正午から48時間だ』

『健闘を祈るよ』


『……忘れてた。コイツの死に様は電波に乗せて世界中に配信してやっから。コイツも好きみてぇだからよ』

 ゼロと言葉に合わせてカメラが横たわる者に寄った。

「…峯岸みなみ!?」

 そこには、猿轡をされ、後ろ手に拘束された峯岸みなみがいた。

『じゃ、待ってっからよ』


 ゼロの嘲りと共にDVDの映像はそこで途切れた。


「警視正…」

「何としても見つけ出すぞ!」

 挑発的な映像に文言。そして、新たな犯行声明に対し怒りに震える北嶺が指示を出した。




「東山、俺たちも行くぞ」

「はい!」

 捜査本部から出た南はあの映像にデジャビュに近いもの感じていた。





絹革音扇 ( 2013/12/27(金) 18:29 )