二束目
第12花ーニゲラ
『ならよかった!
また明日ねおやすみ!zzz』

いかにも小百合らしいLINEが来た。

『おう、明日な』

そう返信をして俺はまだまだ新築といっても差し支えのないアパートの2階、見慣れたドアの横にあるインターホンを鳴らした。




数時間前、俺は寺田さんとファミレスで話をした。そう、俺の知られてはならない過去の話。

具体的に何を話したか覚えていないほどに動揺していた。けど、寺田さんからこの件を裁いたりということはないことだけは彼女が明言していた。信じていいのかは疑問ではあるが。

彼女とファミレスで別れてから一気に不安が俺を襲った。家に帰って布団に潜り込んでも眠りにはつけなかった。せっかく手に入れた自由だ。警察の目も欺いてあの事件から9年も経った今になって暴かれてはたまったものではない。彼女が言うことを手放しに信じるしか今はできることなどなかった。

睡眠薬を服用しても一向にやってこない眠気にイライラした。安定剤が必要だった。精神的な安定が。

そう思った俺はスマホを取り出してある人に電話を掛けた。その人はバイト中であるのを知りながら。

長い呼び出し音が鳴り続いた。そして、その呼び出し音が止まった。

「もしもし、春樹君?」

出ると思っていないで電話をかけていたから驚きで何も言えなかった。

「春樹君?どうかした?」

「先輩、先輩のバイトが終わった頃に先輩の家行ってもいいですか」

「う、うん良いけどさ…いや、何でもない。あと1時間くらいだからそれまで待っててね」

たぶん、俺の声は震えていたと思う。先輩に依存しているのは自覚しているし、先輩もきっとそれをわかっている。そこに俺は甘えてしまった。


そして俺は先輩の家の前にいる。インターホンを鳴らして数秒後に先輩がドアを開けてくれた。


部屋に入ると口を開こうとした先輩に俺は抱き着いた。

「先輩、強く抱き締めてくれませんか」

■筆者メッセージ
さて、ストックつくるぞぉぉぉぉぉ
Hika ( 2019/07/22(月) 21:00 )