第6花ージャスミン@
「え?」
理解が追い付かなかった。
「だから、私を抱いてって。こっちだって恥ずかしいんだから何度も言わせないで」
「抱くってつまり…」
そういうことですよね?と聞こうとした俺の口は柔らかな感触によって遮られた。
「こういう意味だよ」
そう言った先輩は再び唇を重ねてきた。その先輩の姿に驚きながら俺も先輩のキスに応える。やがて室内はぴちゃぴちゃと淫靡な水音がだんだんと大きく響き始めた。
「んっ、キス、上手だね」
激しいキスが途切れてお互いに肩で息をする。
「先輩、良いんですか?」
「しっかり自分からもキスしたくせに…良いの。続き、しよ?」
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『20分後くらいにうちに来てね』
先輩と体の関係を持つようになってからもうすぐ1年になる。2週間から1か月のスパンでバイトが被っている日に先輩の気分で呼ばれる。
今日呼ばれたということはつまり、溜まっているということだ。愛情はお互いにない。いわゆるセフレというやつだ。フラットな、ただお互いがお互いを求めるだけの関係。
あの日から何度も通った道を歩くと先輩のアパートについて先輩の部屋のインターホンを鳴らす。
『入っていいよー』
ドアを開け、後ろ手で鍵を閉めて靴を脱ごうとするともう目の前には先輩がいた。
「ねぇ、我慢できないよ」
靴を脱ぐ間も与えられずに俺の唇に先輩の唇が触れ、瞬く間に先輩の舌が口内に侵入してきた。それは先輩とは別の生物かのように口内を動き回る。
「「ぷはっ、はぁっ、はぁっ…」」
お互いに肩で息をつく。
「先輩、溜めすぎですよ。ベッド、行きましょ?」
コクリと頷いた先輩の顔は既に性に飢えた雌の顔をしていた。