第3話
英晞「ほい。ブラック、飲めたよな?」
僕は近くの自販機で2人分のホットコーヒーを買って1本を陸に渡した。
陸「さんきゅ。んで、純奈が好きだってのは?」
僕は缶コーヒーを両手の中で転がして手を温めながらベンチに座った。
英晞「話の始まりは中2の夏休みかな…。ほら、僕って中2の夏休み明けに転校して来たじゃん」
陸「そういえば、そうだったっけ」
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岡田「一応、2学期からの転校生ってことだけど、陸上部に入部するから夏休み中から練習に参加してもらうことになった、野田君です。」
陸上部顧問の岡田先生から紹介を受けて、僕は挨拶をした。僕の種目は長距離だった。その日の練習が終わったあと、僕は同い年の部員達に囲まれた。それもそうだ。転校生なのだから。一応、全員からの自己紹介を受けた。僕はその中でも活発に話す2人の女子に目が行った。
日奈子「投擲の北野日奈子です!よろしく!」
純奈「長距離の伊藤純奈です!よろしくね?」
一目惚れだった。ダサい指定のジャージの下をまくり上げて、短い髪を揺らしながら話す彼女に。
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陸「待てよ、純奈ってずっとロングだよな?ショートって言ったら日奈子だべさ」
英晞「まぁ、良いから続きを聞いてよ」
僕はまだ暖かいブラックを口に含んだ。