第5話
飛鳥に荷物を持たされた上に「ここで待ってて」と言われ、早15分が経とうとしていた。優暉は何度目とも分からぬため息を漏らす。それから更に5分ほど経過すると、ベンチに座ってアスファルトに目を落としていた優暉の頭上から飛鳥の声が聞こえた。
飛鳥「ごめん、混んでたからさ」
優暉が顔を上げると、そこには満面の笑みでクレープを差し出す飛鳥の姿が。飛鳥「食べよ?一緒に」
どうやら飛鳥は今日のお礼ということで、クレープを買いに行っていたようだ。ベンチに座り、2人並んでクレープを頬張る。
飛鳥「えっ!美味しい…!ね?」
優暉「確かに美味いな。ありがとう、飛鳥」
飛鳥「お礼なんていいよ。私が荷物持ってもらってるんだから」
優暉「分かった。そういうことにしとくか」
2人はクレープを食べ終えると帰ることに。来た道を戻り、駅へ辿り着く。そのまま2人は電車に揺られ、2人の最寄り駅へ。電車を降りると、すぐに電車は次の駅に向けて走り出した。
飛鳥「ねぇ、優暉」
優暉「どうした?」
優暉は応える。しかし、飛鳥は黙って俯いたまま。沈黙に耐えきれなくなった優暉が再び問う。
優暉「どうした?」
飛鳥「…ねぇ、優暉。話があるから家に寄って行ってよ」
飛鳥の家まで何を話したのか覚えていない。何故か1日中感じていた頭痛はなりを潜めていた。家に着くと、飛鳥は無言で優暉を部屋に招き入れる。飛鳥が部屋のドアを静かに閉めて唐突に口を開いた。
飛鳥「ねぇ……付き合ってよ」