第63話
夜が開けて、修学旅行2日目は班別の自主研修。寺社仏閣を3ヵ所以上巡るというルールがある以外は基本的には自由。昼食と夕食も班ごとに食べることになっている。
賢吾「最初の目的地は…しみず寺か!」
巧輝「賢吾、きよみず寺だぞ。ほら、『清水の舞台から飛び降りる』ってのがあるだろ?それの語源だよ」
賢吾「こ、細かいことは気にしないでとりあえず行くぞ」
七瀬「巧輝って、何でも知っとるんやなぁ」
巧輝「そんなことないよ。俊の方がこういうのは得意分野だったはずだよ」
奈々未「確かに俊は色んな雑学知ってるよね」
俊「そんなことないと思うけど。そうそう、清水の舞台から飛び降りても7割8割は助かるらしいよ」
巧輝「へぇ、そうなんだ。まぁ、助からないんだったら見学とか規制されるだろうな」
俊「それもそうだね」
一行は清水寺から銀閣寺や金閣寺を巡り、とりあえずのノルマはクリアして昼食を摂りながら、午後はどこへ行くかを話し合うことに。昼食は鯛茶漬け。
巧輝「めっちゃ美味いな、鯛茶漬け!ご飯はお代わり自由なんだっけ?」賢吾「ほほはふ(そのはず)」
奈々未「口に物入れて喋らないでよ。急いで食べて火傷すればいいのよ全く」
七瀬「でも、ホンマに美味しいなぁ。たくさん食べとうなる」
しばしは鯛茶漬けの話で盛り上がる。それから、午後の行程についての話へ。テーブルの上に地図を広げて5人でアイディアを出し合う。
巧輝「せっかく来たんだから、世界遺産とかたくさん見たいよな」
七瀬「せやね。教科書とかにも出とる二条城とかええなぁ」
奈々未「京都から出ちゃうけど比叡山延暦寺なんかも行ってみたいわね」
俊「店員さんにオススメ聞いてみようよ」
賢吾「それだな! すいませーん」
早速、賢吾は店員を呼んだ。
店員「お待たせしました。どうかなさいましたか?」
巧輝「今、修学旅行で自主研修してるんですけど、どこか見ておくといい場所ってありますか?」
店員「んー、個人的なオススメは龍安寺かな。枯山水って聞いたことあるかな?地形だけで山とか水を表すものなんだけど、龍安寺の石庭が有名だから行ってみると良いよ」
巧輝「分かりました!ありがとうございました」
店員「いいえ、お役に立てたかは分かりませんが」
そう言って店員は店の奥へと戻って行った。結局、5人はまず勧められた龍安寺に向かうことに。5人はそれぞれ会計を済ませ、龍安寺へ向かった。