第62話
迎えた修学旅行当日。生徒各自で新千歳空港に集合して飛行機に乗り込む。時刻は午前7時。関西の伊丹空港までのフライトだ。
乃木高2年2クラスを乗せた旅客機が伊丹空港に降り立った。一行はクラス毎でバスに乗り込み、最初の目的地の奈良公園に向かった。
七瀬「関西や!久しぶりに戻ってきたで」
巧輝「3月の終わりでしょ?北海道に来たの」
七瀬「うん、せやから7ヶ月ぶりやね」
巧輝「7ヶ月か…。七瀬と出会ってからもうそんなに経つんだね」
七瀬「せやな…。修学旅行、いっぱい楽しんで思い出たくさん作ろうな」
巧輝「もちろんだよ七瀬」
1時間ほどバスが走ると、目的地の奈良公園に到着する。
奈々未「ほんとに鹿がたくさんいるのね」
俊「鹿せんべい売ってるみたいだから行ってみようよ、奈々未」
七瀬「うちらも行こ?巧輝」
巧輝「そうするか。賢吾は?」
賢吾「いや、俺はいいや。それより、馬いねぇか?馬と鹿並べてバカってな」
奈々未「その賢吾の頭がバカよ全く」
みんなで笑いながら鹿せんべいを買いに行く。巧輝が購入した鹿せんべいを早速鹿にあげてみると、せんべいを持ってる手まで噛まれそうなほど鹿は食いついてきた。七瀬や奈々未は「かわいい」を連発しながら子鹿にせんべいをあげていた。
それから一行は、東大寺や若草山、春日大社を見学して1日目の行程は終了。これから1時間ほどかけてホテルに向かう。度重なる長時間の移動のためか、元気が取り柄の賢吾ですら睡魔との戦いに負けたようだ。
ホテルに到着すると、基本は自由時間。異性同士の部屋の行き来はできないが、ホテルのロビーや屋上などは特に制限をかけられていなかった。19時からは優勝だが、それ以外は全て自由。巧輝と七瀬はホテルの屋上で京都の夜景を見ながら言葉を交わしていた。
七瀬「今日は楽しかったなぁ」
巧輝「明日は自主研修だから、もっと楽しめそうだな」
七瀬「せやね、巧輝と一緒やから。ななみんたちもね」
巧輝「そうだな。それにしても夜景、キレイだな」
七瀬「ホンマにな。札幌にも夜景がキレイな所あらへんかな?巧輝とたくさん夜景見たいで」
巧輝「クリスマスとかに行きたいな。調べておくよ」
七瀬「ありがとう巧輝 大好きや!」
巧輝「俺もだよ七瀬」
七瀬の頬が紅く染まる。それから少しの間をおいて巧輝が口を開く。
巧輝「さ、冷えたら困るしそろそろ中入ろっか?」
七瀬「うん、行こ」
2人は手を繋いでエレベーターホールへと消えていった。