高校2年生9月
第57話
ついに迎えた巧輝の退院日。その日の朝、一実と巧輝は少し言葉を交わしたがそれほど時間もなく、巧輝は会話を切り上げて病室に戻る。その姿を見る一実の寂しそうな目に気づく巧輝だったが、かけるべき言葉が見つからず、そのまま病室に向かうしかなかった。

巧輝が病室に戻って退院の準備をしていると、昨日連絡があった通り、姉の麻衣と七瀬が迎えに来てくれた。2人は巧輝と一緒に退院の準備を手伝ってくれたため、案外すぐにそれは終わった。ちょうどそこに、開け放していたドアから主治医の直島が入ってきた。
直島「巧輝くん、退院おめでとう。まだ足は万全じゃないから気をつけてね」
巧輝「はい、分かってます。直島先生、お世話になりました。ありがとうございました!」
直島「いいのよ、仕事だから」
直島はそう言い残して病室を出ていった。

深麻「じゃあ、帰ろっか」
七瀬「巧輝、退院おめでとう!」
巧輝「ありがと!じゃあ、行くか」
そう言って3人は病室を後にする。3人が談話室の前を通ると、一実がちょうどこちらを見ていた。それに気づいた巧輝は2人に、
巧輝「ちょっと待ってて、すぐ戻るから」
と伝えて、松葉杖をついて一実のもとへ向かう。

一実「巧輝さん、退院おめでとうございます!」
巧輝「ありがとう、一実ちゃん。そうだ、何か相談とかあったらいつでもメッセージ送ってね。なるべく早く返事できるようにするから」
一実「本当ですか?ありがとうございます!」
巧輝「それから、来年の4月に乃木高校に入学してくるのを待ってるよ。一実ちゃんならきっと大丈夫だから頑張ってね!」
一実「分かりました!絶対乃木高校合格します!待っててくださいね」
巧輝「おう!それじゃ、またな」
一実「はい、また!」
2人は堅い握手をして離れる。先ほどまで一実の目に浮かんでいた寂しさは、強い決意の色に変わっていた。

家への帰り道に七瀬から一実のことを詰問されたのはまた、別のお話ー。

■筆者メッセージ
どうもHikaです。とりあえず、これにて9月編完結です。ほとんど、巧輝が入院していた話になってしまいましたが、初の試みとして七瀬、巧輝2人の目線で同じ内容を書かせていただきました。個人的には楽しかったですが、矛盾ができないようにいつも以上の気配りに多少気疲れしたような気もします。

さて、次の10月編ですが、前々から予告しているとおり、修学旅行がメインのお話となります。サッカーの方はまだ少し先になります。巧輝たちもサッカーしたがっているでしょうが(笑)まだ細部は構想段階なので、更新はまた遅くなりそうです。楽しみに読んでくれている方には申し訳ないです。すいません!

では最後にいつものアレを。この小説に何か意見や感想などがあれば送って貰えればと思います。モチベーションに繋がります。リクエストも絶賛受付中です!3期生とかも出していければと思います。前回の第56話では1拍手いただきました!ありがとうございます。

それでは、また近いうちに更新できるよう頑張りますので、しばしの辛抱、よろしくお願いします。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!
Hika ( 2017/09/27(水) 17:59 )