高校2年生8月
第38話
そして、日付は変わりインターハイ本戦が始まる。
設楽「今まで練習してきたことをいつも通りに出すだけだ きっと勝てるさ」
設楽先生のその言葉通り、乃木高校は初戦、2回戦と難なく突破する。

次の日の準々決勝。相手は強豪の青森吉田高校。
設楽「青森吉田は、相手エンドの深いところからロングスローでゴール前に放り込んでくる。それを身長の高いFWに合わせてくる。ゴール前の混戦からのゴールでここまで勝ち上がってきている。相手のボールを早め早めにカットする意識を持って試合に臨め。スローインは仕方がないが、苦し紛れのクリアボールはなるべく前線のサイドに蹴り出せ。」
侑汰「先生、ポジションはどうしますか?」
設楽「ポジションは4-5-1で、2ボランチを置く。1トップは賢吾、トップ下は巧輝、2ボランチは侑汰と雪弥、左サイドバックに俊…… 以上だ。勝って勝って、優勝狙いに行くぞ」
「はい!」全員が返事をする。

両校の選手がハーフラインに並び、握手を交わす。キャプテンの侑汰はその場に残り、ほかのメンバー自陣の真ん中で円陣を組んで侑汰を待つ。
コイントスの結果、キックオフは相手の吉田高校。
侑汰「皆、絶対勝つぞっ!」
「おうっ!」
ベンチ入りメンバーもベンチで肩を組んで一緒に声を出していた。

主審の笛が鳴る。吉田高校のキックオフで準々決勝は始まり、ボールは1度DFラインに下げられる。相手キャプテンのセンターバックがロングボールをサイド目がけて蹴り込む。しかし、そのままボールは流れ、タッチラインを割る。
侑汰「俊、相手はロングボールから形を作ってくるから、タッチラインを割っても良いからしっかり競り合え!」
侑汰はこのプレーを見て瞬時に指示を出す。

俊のスローインからゲームは再開される。俊からボールが雪弥へ渡る。雪弥は迫ってきた相手をワンタッチでかわす。その流れのまま侑汰ボールを送る。侑汰はダイレクトでふわっと浮かせたボールを前線の賢吾目がけて蹴る。
それを胸でトラップした賢吾はゴールに向かう。しかし、相手のDFにボールはカットされてしまう。

転々と転がるボールを最初に拾ったのは巧輝。そのままドリブルを開始する。相手のボランチがスライディングで奪いに来るが、ボールを浮かせてそれをかわす。浮かせたボールはサイドを駆け上がる俊の元へパスされる。
ボールを受けた俊はライン際を駆け上がる。ペナルティーエリアのすぐそばまで来ると、そこで味方の上がりを待つようにボールをキープする。
賢吾と巧輝はそれぞれニアサイドとファーサイドに別れてゴール前へ入っていく。その動きにつられたのか、相手のDFラインは賢吾と巧輝のマークに付く。俊はそれを見て、センタリングを上げるのではなくすぐそばに上がってきた雪弥にボールをパスする。
ペナルティーエリアの角でボールを受けた雪弥はドリブルでエリアに入っていくと、ファーのサイドネット目がけてシュートを放つ。
相手のキーパーは反応するも、手が届かずにネットが揺れる。雪弥が先制点を決めた。

それからは乃木高校のリードで前半は進み、ハーフタイムとなる。

設楽「先制点の場面の雪弥のシュートは素晴らしかったが、雪弥にパスをした俊の判断が良かったぞ! 後半もこの調子で行くぞっ!」

そして、後半戦が主審の笛で始まる……

■筆者メッセージ
やっとインターハイスタートです。ここからはサッカー描写が多めになります。表現に自信はありませんが、温かい目で見守ってくれればと思います。
感想、意見、リクエストまだまだ募集中です!特に感想、意見は励みになるのでお願いします!
Hika ( 2016/03/02(水) 02:01 )