高校2年生7月
第34話
乃木高校に着くと、巧輝は七瀬に言う。
巧輝「たぶん、もう少しで奈々未が来るからそれまでここで待ってて 俺はちょっと打ち合わせに行ってくる たぶんすぐ終わると思うけど、終わったらメッセージ送るから」
七瀬「うん、わかった 頑張ってきてねー」

七瀬がそう言うと、奈々未がグッドタイミングでやってくる。
奈々未「なぁちゃ〜ん」
七瀬「あ、ななみん!」
奈々未「なぁちゃん、浴衣すごいかわいい」
七瀬「ななみんもすごくかわいい」
奈々未も浴衣を着てきたようだった。
巧輝「奈々未、生徒会の打ち合わせ中、七瀬を頼むな」
奈々未「わかったわ」

巧輝は奈々未の返事を聞くと、校舎へと入っていった。

深麻「じゃあ、全員揃ったから打ち合わせ始めるね 美彩、よろしく」
美彩「後夜祭はこの後18時からスタート 18時半からのどコンの決勝 19時半から花火スタート 花火は1時間くらい その後にのどコン優勝者の表彰とかして、下校が21時 ここは風紀委員と協力してさっさと終わらせましょう!」
白麻「花火中はフリーよね?」
深麻「ええ、生徒会役員と風紀委員は特別に屋上から見れるようにしてあるから」
美彩「さっすが会長 誰かと一緒でも良い?」
巧輝「あ、それは俺も聞きたいです」
深麻「しょーがないなぁ〜 少人数なら許可します」
白麻「さっすが会長 太っ腹〜」
深麻「とりあえず解散して、それぞれのどコンの方だったり、持ち場に就いて」
白麻・美彩・巧輝「りょーかい!」
そう言って3人は生徒会室を出ていく。

巧輝は七瀬にメッセージを送る。

【ごめん、今終わった 今どこら辺にいる?迎えに行くよ】

すぐに七瀬から返信。

【お疲れ様、今ねななみんと一緒に中庭のベンチのとこにいるよ】

巧輝「お待たせ、七瀬、奈々未」
奈々未「全然?」
七瀬「大丈夫だよ」
巧輝「それじゃあとりあえず七瀬はサッカー場の、のどコン会場に行くか奈々未も一緒に」
奈々未・七瀬「うん」

白麻「さて、やってきました!のどコン決勝戦!」
美彩「改めて決勝進出者を発表します!!」
こうして、のどコンの決勝戦は始まった。決勝戦だけあってみんな歌がうまい。
白麻「さて、4人目!我が弟白石賢吾!」
美彩「曲は、GReeeeNの愛唄です!」
賢吾が歌い始める。賢吾は今までに歌った3人よりもうまかった。
賢吾「ただ 泣いて 笑って 過ごす日々に 隣に立って 居れることで 僕が生きる 意味になって 君に捧ぐ この愛の唄………」

観客はリズムに合わせて手を振り、賢吾が歌い終えると会場は拍手で溢れかえる。

白麻「そして、最後は!」
美彩「サッカー部エース深川巧輝を射止めた、西野七瀬!」
ここで会場の盛り上がりは最大に。
曲は「君の名は希望」。前奏が始まり、七瀬が歌いだす。
七瀬「こんなに誰かを恋しくなる 自分がいたなんて 想像もできなかったこと 未来はいつだって 新たなときめきと出会いの場 君の名前は"希望"と今 知った………」

七瀬が歌い終わって、深々と礼をするとはち切れんばかりの拍手が起こる。

白麻「果たして今年の、のどコン優勝の栄冠は誰の手に!?」
美彩「発表は、この後のどコン花火が終わった後ここで行います!」
白麻・美彩「それまで、御機嫌よう」

巧輝「七瀬、お疲れ様」
巧輝はそう言って七瀬の頭を撫でる。
七瀬「え?」
巧輝「あ、ごめん 嫌だった?」
七瀬「ううん いきなりでびっくりしただけ 続けて?」
奈々未「はぁー、2人とも人の眼の前でやらんで?」
2人は奈々未が一緒にいることを忘れていた。

巧輝「花火だけど、生徒会役員と風紀委員は特別に屋上で観れるらしいから、屋上行こうか」
七瀬「え?良いの?」
奈々未「私たち、生徒会役員と風紀委員のどっちでもないけど」
巧輝「大丈夫だってさ」
七瀬「なら行く!」
奈々未「私はパスで 俊と見る約束してるから」
巧輝「そっか、じゃあな」
七瀬「俊君と仲良くね〜」
奈々未「そんなんじゃないってば!」
そう言って走っていく奈々未の耳は赤かった。

巧輝と七瀬が屋上に上がり、柵のところまで来ると、ちょうど良く花火が上がり始める。
ハートの形や、星形など様々な形が夜空に浮かび上がっては消えていく。

七瀬「巧輝、好きだよ………」
七瀬がボソッと言う。しかし、巧輝にはよく聞き取れずに聞き返す。
巧輝「なんか言ったか?七瀬」
七瀬「ううん なんもだよ」
巧輝「そっか 七瀬、来年もここで一緒に花火見ような」
七瀬「うん!」
七瀬は嬉しそうに笑う。それにつられた巧輝も笑う。

あっという間に花火が終わってしまった。そして、のどコンの優勝者の発表となる。
白麻「さて、栄えある今年ののどコン優勝者は!?」
ここでドラムロールが流れ始める。
会場が盛り上がってきたタイミングで美彩が口を開く。
美彩「会長から発表してもらいます」
会場全体がずっこける。これは毎年のお約束だ。
深麻「では、気を取り直して発表します! 今年ののどコン優勝者は……」
再びドラムロールが流れる。
深麻「西野七瀬さんです!」
スポットライトで七瀬が照らされる。
恥ずかしそうにしていたが、嬉しそうに笑っていた。その後、七瀬がアンコールで別の曲を歌い、後夜祭は、今年の乃木高祭は幕を閉じた。

その帰り道、いつもの公園にてー
七瀬「今日はありがと 花火一緒に見れてよかったよ さっき巧輝も言ってたけど、来年も一緒に見ようね?」
七瀬がそう言うと、巧輝に抱きつく。
しかし、巧輝からは何の反応もなかったので、顔を上げて巧輝を見る。

すると急に七瀬の唇に驚くほど柔らかな感触が。触れるだけのキスだというのに、びくりと細い肩を跳ねさせ、巧輝を上目遣いに凝視する。

それからは沈黙の時間が流れる。
七瀬「今……キスした?」
巧輝「試してみる?」
七瀬「うん……」
再び七瀬の唇に柔らかな感触。それから、巧輝は言う。
巧輝「七瀬、大好きだよ」
七瀬「私も巧輝が大好きだよ」
そう2人で言い合うと、どちらからともなく手を繋ぎ、歩き出していた。

■筆者メッセージ
これにて、高2・7月編終了です。次回の8月編は更新がかなり遅くなるかもしれませんが、ご了承ください。さて、もう少しで乃木中始まりますね。

クウガさん、感想ありがとうございます!お互い、刺激しあって頑張って行きましょう!
「君の笑顔が見たいから」続きが気になります!
それでは、この辺で
Hika ( 2016/02/15(月) 00:00 )