高校2年生5月
第17話
パーティーもついに終わりに近づき、奈々未たちが残って片付けをしてくれるということなので、七瀬は遠慮しながらも、巧輝と先に一緒に帰ることになった。
七瀬「今日は、ホントにみんなありがとう! 先輩方も、後輩たちも そして企画してくれた巧輝君もななみんも クラスのみんなも 忘れられない誕生日になりました ホントにありがとう」
七瀬がそう言うと、どこからともなく拍手が起こった。
そして拍手が収まると、
奈々未「そしたら、巧輝はなぁちゃんを送って一緒に帰って?」
巧輝「あぁ、ありがとう 片付け任せちまって悪いけどよろしくな」
奈々未「この私に任せときなさい!」
七瀬「ありがとう、ななみん」
奈々未「なぁちゃんは今日の主役だからね」
巧輝「んじゃ、七瀬行くか」
七瀬「うん!」
七瀬が喫茶店を出て行く時にも拍手が起こった。

そのまま2人で駅前まで少し歩き、バスを待つ。5月下旬ではあるが、今日は少し肌寒かった。
七瀬「ちょっと寒いなぁ 巧輝君手繋いでくれる?」
巧輝「あぁ、良いよ」
手を繋いでバスを待つ2人。
やってきたバスにそのまま乗り込み、後ろの席に座る。

七瀬「また、肩借りていい?」
巧輝「いいよ」
巧輝は優しく言う。
七瀬はただこうしているだけで幸せだった。
『巧輝君と2人きり…… 緊張するけど、すごく幸せ』
そのまま七瀬は巧輝の肩に頭を乗せて眠ってしまった。
『七瀬の寝顔、すごくカワイイ…… もしかしたら、七瀬に恋してるのかもな…』
巧輝はそう考えると、急に緊張してきていた。

バスの中ではあまり話さずに、2人が降りるバス停に到着した。巧輝が七瀬を起こすと、
七瀬「あ、あれ? 寝ちゃってた?」
こう言って焦っていた。
『巧輝君に寝顔見られちゃった…… どうしよう』
そう考えると、どんどん顔が赤くなっていく。
巧輝「どうした?七瀬」
バスを降りてから巧輝は聞く。
七瀬「いや、巧輝君に寝顔見られちゃったなぁ〜って」
巧輝「そんなことか」
七瀬「そんなことって、めっちゃ大事なことなの!!」
巧輝「かわいかった!」
七瀬「……え?」
巧輝「もう一回言うぞ? 七瀬の寝顔、かわいかったぞ」
これを聞いた七瀬も言った巧輝も赤面する。
そうして、また2人で笑う。

歩きながら、七瀬は言う。
七瀬「もう少し巧輝君と話したいから、いつもの公園行こ?」
巧輝「あぁ、いいよ」
まだ時間は17時半。まだまだ空は明るい。

公園に着いた2人はブランコに座って話をする。
七瀬「今日はホントにありがとう」
巧輝「もういいって」
七瀬「いや、良いの言わせて? だって、巧輝君が『やろう』って言ってくれたんでしょ?」
巧輝「奈々未から聞いたんだな? まったく、内緒って言ってたのに」
七瀬「嬉しかったよ 巧輝君が『パーティーしよう』って言ったよっていうのをななみんから聞いたときは」
巧輝「そうか、なら良いや」
そう言って巧輝は照れ笑いを浮かべる。

ふと七瀬は思い出したかのように言う。
七瀬「もうすぐで定期テストだね」
巧輝「せっかく忘れてたのに……」
七瀬「あ、ごめんね?」
上目遣いで言う七瀬。
巧輝「い、いや全然良いんだけどな? 勉強始めなきゃなって思ったから」
七瀬「そう?なら良かった」
そう言って、ホッと胸をなでおろす。
巧輝「そうだ、奈々未とかも呼んで勉強会でもするか」
七瀬「良いね!やりたい けど、サッカー部の練習があるんじゃないの?」
巧輝「いや、大丈夫だ テスト前に部活は自主練習になるから」
七瀬「自主練習って出なくても大丈夫なの?」
巧輝「大丈夫だよ」
七瀬「なら、安心して勉強できるね」
巧輝「勉強するのに安心か……」
巧輝がそう突っ込むと、七瀬はぷくぅーっと頬を膨らませる。
七瀬「良いでしょ?別に」
巧輝「ごめんごめん、七瀬」
七瀬「良いよ、許してあげる 巧輝君だからだよ?」
巧輝「あ、あぁありがとう」
七瀬「それじゃあ、今日はこの辺で また月曜日ね」
巧輝「そうだな また月曜日!」
そう言って2人は曲がり角で別れる。時間は話始めてから1時間ほど経っていた。

巧輝「ただいまー」
深麻「遅いわよ! なんで先に帰ったのに私の方が先に家に居るのよ」
巧輝「すまんすまん」

そう言って、巧輝は自分の部屋へ行く。そのままベッドへ倒れこむ。
『やっぱり、俺は七瀬に……』

スマホの通知音で目が覚める。どうやら眠ってしまっていたようだ。時間は22時前。
『こんな時間に、誰からだろう…?』
スマホの画面を見ると、麻衣から。メッセージの中身は、
【今から会える? 来れたら、○丁目の公園まで来てくれる?】

ちょうど目が覚めてしまった巧輝は特に考えることもなく、ウィンドブレーカーを羽織って、家を出る。自転車を走らせ、○丁目の公園まで急ぐ。

巧輝「ごめん、遅くなった」
白麻「ううん?こっちから呼び出したから良いの」
巧輝「んで、なんかあったの?」
麻衣は今日のパーティーで、美彩や麻衣と話し合って、今日中に告白すると決めていた。

白麻「あのね、巧輝君………巧輝君のことが好きなの……だから、付き合ってほしいんだ 返事は先でも良いから」
巧輝は何が起こっているのかわからず、何秒間か固まってしまう。
そして、だんだんと何が起こったのかを理解する。
巧輝「ひとつ、聞いても良い?」
白麻「良いよ」
優しい声で言う。
巧輝「なんで俺?」
白麻「巧輝君、優しいじゃん 今まで私が付き合ってきた男の子って私を何かのアクセサリーのように扱ってきた。でも、巧輝君だったらそんなことないんじゃないかな?って それに嫌だって言っても、結局やってくれるトコとか」
巧輝「わかった とりあえず、告白してくれてありがとう 返事は少し考えさせてくれるかな?」
白麻「わかった 良い返事を期待してるわ」
麻衣はそう言って公園から出ていく。
そのまま残された巧輝はベンチに座り、考えていた。それからどうやって帰ったのか覚えてはいなかった。

■筆者メッセージ
ついに、高2・5月編完結です。
白麻から告白された巧輝はどうなるのか、私にもわかりません笑
感想とかあれば、ぜひどうぞ!お待ちしてます。
Hika ( 2016/02/09(火) 23:18 )