4章
04
「菜緒これ見ろ」

時刻表には、[寝台特急サンライズ出雲/瀬戸 東京行き 0時34分発」と乗っていた。

「お兄ちゃん、これで帰れば学校に間にあう!」

「よし、切符買ってくる」

俺はみどりの窓口で切符を買った。2人用の個室しか空いてなかったので、そこを取った。

一旦家に帰ることにした。真司は家に泊まるらしい。

「さて、飲むか!」

「おとん、そんな飲んで大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫」

「お酒には気をつけてや」

「菜緒、母さんに言うことが似てきたな」

そして1時間後、

「おとん寝たやん」

「お父さんは連れてがなくてええな」

「うん。あ、お土産どうしよう」

「それなら近所の田中さんからもらったまんじゅうでも持って行きなさい」

「もらって行くわって、多!!」

「田中さんまんじゅう工場に勤めてん。だから」

「設定無理矢理すぎるやろ。まあええか3箱持って行くわ」

俺は先生方用、生徒用、スナック眞緒用に持って鞄に入れた。

「菜緒は?」

「要らない。今日友達とUSJ行って来たから」

「そうか」

「お兄ちゃん、ぎゅーってしたい」

なんて可愛い妹なんだろう。俺は幸せだ。

「おうおう、仲のいい兄妹ですこと」

「なんや真司」

「いやいっしょに飲もうと思って」

「じゃあ俺の部屋行くか。菜緒離れて」

「ええ〜」

可愛い妹を置いて2階の自分の部屋に入った。

「お前と会って何年だっけ?」

「10年だよ」

「そんな経つんか。早いな」

「真司と会ったきっかけってなんやったっけ?」

「たしか中2でいっしょのクラスになって、それで仲良くなったんだっけ」

「そうそう、よく悪さしたなぁ」

「何したっけ?」

「校長先生の写真に落書きしたり」

「先生に黒板消し落としたり」

「今考えれば、クソガキやったな」

「よく俺の家に泊まりに来てたな。まあおかんも歓迎してたからな」

「しゃあないやろ。うちの親は共働きやもん」

「真司が家に泊まりにくるの何年ぶりだっけ?」

「たしか5年ぶりぐらいだよね」 

「真司、尺の都合で言うが俺達、親友だよな」

「おう」

「よし、飲むか!!」

ガラガラガラッ

「お兄ちゃん、そろそろ行くで」

「わかった。今行く」

「もう行くんか」

「明日仕事やもん」

俺達はおとんを置いて、おかん、菜緒、真司と俺で大阪駅に向かった。

真司とおかんは入場券を買いホームに出る。
駅には電車は一つもない。サンライズが着くホームにはスーツ姿のサラリーマンがちらほらいる。
俺達は真司やおかんと話していると、

『お待たせ致しました。11番のりばに0時34分発、寝台特急サンライズ瀬戸、出雲号東京行きが14両でまいります。危ないですから黄色い点字ブロックまでお下がりください』

「来たか」

放送が流れ終わると、ヘッドライトが見えてベージュの電車がやって来た。扉が開いてデッキに立つ。

「裕翔、菜緒頑張ってな」

「今度東京に遊びに来るからな」

「おう」

プルルルルルルルルルルルルル

発車ベルが鳴り響く。

「じゃあな真司」

ドアが閉まり、サンライズが走り出した。

ジェリー ( 2020/05/05(火) 13:16 )