01 二人きりの生活。
真司は愛知に帰った。
ゲームは少しの札に変わった。
買って1日でクリアさせたゲームも全部、なにもかも消し去ったらしい。
バイトも全部辞めたとかで。
スーツを着て、そのまま新幹線で未央奈と婆ちゃんの元へ帰った。
二人きりの生活が始まった。
でも付き合ってはない。
なんだかまだ怖くて正直になれない。
「いつまで寝てるのよ」
最近は起こされてばっかり。
眠くて仕方ないんです。
「あと5分」
「もう8時だけど」
ベッドから即座に起き上がる。
時計を確認するとまだ6時半。
「また人を騙して」
「騙したんじゃないわ。たまには早起きだっていいじゃない。最近は朝ごはんいつも私に任せっきりだし」
「いや、あれは別に」
お嬢様のにらみつける。
俺の防御力が20下がった。
「・・・なんでもないです」
「あ、そして今日は俺の貴重な休みなのに。もっと寝たかった」
今日は俺個人は休み。
店自体はあるけど、先週休みだった先輩が代わりに入って休みになった。
昨日は何人かで飲んでたんだ。
記憶はほとんどないけれど。
「今日は散歩行きましょ」
ふらふらしながら洗面台へ。
顔を洗って歯を磨いて。
またベッドにダイブ。
「ちょっと!散歩に行こうってば」
「頑張ってください」
今度のお嬢様の技はのしかかり。
150のHPが98まで減った。
そして背中あたりが変な音した。
「うぅ・・・いって!」
し、死ぬ。
今のはちょっとヤバいやつ。
そして、何よりも重い。
重いなんて言ったら殺られる。
間違いなく目の前で血が流れる。
「どうするの?」
「い、いぎまず・・・」
ベッドから転げ落ちる。
なんかもう動けないんだけど。
これはちょっとダメなヤツ。
背中がスーパー痛いやつやで。
「はい、着替えて」
こんなんずるいわ。
俺の思い描いてた理想のやつと全然影も形も違うんですけど。
恋愛漫画みたいにドキッとするシーンとかないの?全然ないんだけど。
知らない他の人が見たら、間違いなく「え、なにこの同棲」ってなっちゃうから。ヤメてよ、そーいうの。
神様は不公平だ。
こんな綺麗な人を。
イタズラならいいやつにして。
「先に外に出ておくからね」
あぁ、神様。プリーズ、ヘルプミー。