04 サプライズ。
「んー!おいひぃ」
テーブルに運ばれている料理。
小百合は皿を空にしていく。
にしても、今日は食べすぎ。
「あ、それ俺の分」
取っておいた料理が消えた。
小百合は嬉しそうに食べていく。
なんだか嬉しかった。
「じゃあ、そろそろデザートかな」
店の照明が消える。
厨房の奥からケーキを持った従業員が俺達の席に近づいていく。蝋燭がバチバチと火をつけて自らの明るさを主張する。
「小百合、今日から付き合って2ヶ月。沢山の幸せをありがとう。これからもずっと一緒にいて欲しい」
小百合は終始驚いた表情のまま。
手で口を抑えている。
「なに、なに。これってドッキリなの?ねぇ、幸平。どういうこと」
「普通にサプライズ」
周りの席から拍手。
小百合をスポットライトが照らす。
そのまま俺は立ち上がる。
「これはいつもの感謝の気持ち」
ダイヤ型の銀のネックレス。
給料の諭吉2人をキープ。
杏奈に選ぶの手伝ってもらった。
「わぁ・・・綺麗」
「気に入ってくれた?」
嬉しそうに頷く小百合。
さっそく首につけている。
「こんなんでうちの店使うなや」
「ここもオーナーの店だし」
ここの従業員、若宮翔。
実はというとオーナーの息子。
オーナーと仲が良い俺は、自然に翔とも仲良くなって互いの店を行ったりきたりしてる。
「今度、お前の店に行ったら料理の代金はお前につけとくからね」
はいはい、勝手にしとけ。
こっそり貯めたへそくりあるし。
しばらくは困らないはず。
「ずっと、一緒だよ」
小百合の満面の笑顔。
そう、これでいいんだ。
お嬢様を忘れるために。
俺は勝手に幸せになればいいんだ。
小百合がいる。
俺には小百合がいるから。