02 戦争勃発。
「送別会?」
「課長の家でするんだって。あれ、もしかして課長から何も聞いてないとか?」
「全然聞いてないよ。でも、俺と咲良が出会えたから俺は東京エクスに入ってほんとに良かったと思う」
「それは、私も同じ」
李奈は俺達のことを祝福してくれた。それから咲良が俺と付き合い始めた頃に、翔伍は富山に帰っていった。9月6日に正式に実家の肉屋の跡を継いだらしい。
「李奈さんは?」
「李奈は必要な資格取得したから富山に帰ったよ。それから翔伍と付き合い始めたんだって」
「えっ、ほんとに」
「翔伍から連絡あったんだ。あの2人なら大丈夫だ。翔伍なら俺と違っていつもみたいに李奈をまた笑わせてることだろうし」
翔伍と李奈が付き合ったと聞いた時に少しだけ悔しかった。翔伍は俺よりも面白い。それに李奈から告白したとか聞いた。でもそのおかげで、今の俺は翔伍に勝てなかったんだと諦めがついた。
「結婚式、来てくれるかな」
「あいつらは来てくれるよ。だって、二人とも俺の親友なんだから」
「そうだね。それより、雅史。私のプリン勝手に食べたでしょ。許してほしかったらコンビニまでプリン買ってきて。もちろん奢りで」
「うん?あぁ、あの月見プリンって咲良のだったのか。ごめんごめん」
「ほら、どうせコンビニが近くにあるんだから買ってきてよ。プリン食べたのが悪いと思ってるのなら」
「いや、別に悪いとは思わないし…1個食べられたからって別に…」
言い訳を言い終えようとしたその時に、雅史は咲良に飼い猫のように外につまみ出される。鍵まで閉められてしまった。
「ごめんなさい、許して下さい」
「プリン。3個買ってきて」
「3個!?多すぎなんじゃ…」
「うるさい。買ってきたら家の中に入れることを考えてあげるよ」
ドア越しの会話。咲良の足音が部屋の奥に消えていった。部屋のもう一つのスペアキーは雅史のデスクの中なので、もう買ってくる以外には家に入れない。
「へいへい、分かりましたよーだ」
財布を拾って、ため息をつく。左右に首を動かしてぽきりと音を鳴らしたのを機にしぶしぶコンビニまで足を向けて向かった。