遠恋









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第4章
02 移動。
翌朝、車を手配してマンションの下に止めて今回のメンバーを待っていた。


バカ4人組と李奈は来たから、あとはまりやさんと咲良だけ。


「まだかな、雅史」


「もうちょっとで来るとは思うけど」


そう話してた直後に、咲良とまりやさんがやってきた。まりやさんが俺を見つけて、大きく手を振ってきた。


「ごめんね、松岡。咲良がなかなか出てこなくて、遅くなっちゃった」


「いいっすよ。じゃ、行きますか」


全員車に乗り込む。運転席に翔伍、助手席に松田が乗り込んで出発する。俺の席は、まりやさんと李奈に挟まれる形になった。


「あ、松岡が隣だ。松岡だったら、いたずらぐらいしてもいいよね」


「ちょっと、まりやさん。狭いのに、やめてくださいって」


「ふふ、ヘタレ松岡」


横から指で身体をつついたり、髪の毛をいじったりしてるまりやさん。李奈は笑いながら俺とまりやさんを見ていた。


「お、元カノさんが笑ってる。アタシに共感してくれるんだね。さっすが」


「あ、雅史が職場だったらこんな感じなんだなあって思うと面白くって。雅史、富山にいた頃はカッコつけてるクールキャラなんです。真面目すぎて、いっつも空回りしてて」


「おーい、李奈。それ以上は…」


これ以上は俺も耐えられん。この2人に挟まれてるようじゃ、おそらく俺は身が持たない。咲良に助けを求めようとも、バカ4人組のうちの3人の相手をしてるし、無理だ。


「高速来たぜ、シートベルトしろよ」


翔伍の言葉で、シートベルトを締める。
俺の左手が、シートベルトをつけたまりやさんの右手と触れる。まりやさんは微かに頬を赤くして急に目を合わせなくなった。


「ちょっ、なんすか。急に黙り込んだりして、まりやさん。聞いてます?」


「うるさい、バカ」


「バカって言わんといてくださいよ。俺こう見えても傷ついてるんすよ」


「雅史、飴食べる?」


李奈が飴を差し出してきた。それを受け取って口の中に投げ入れる。


「サンキュ、李奈」


「バーベキュー、楽しみだね」


「あぁ、そうだな」


高速道路の途中で、看板が見えた。千葉県に入ったみたいだ。一息ついて安堵する。突然、眠気が襲ってきて俺は静かに目を閉じて眠り始めた。

ガブリュー ( 2015/12/19(土) 18:33 )