第六章『確証』
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 展望台から降り、二人はその場で別れることになった。

 先日の一件もあったため、駅まで送ると言われたが、一人になりたかったため、金村は彼からの誘いを断っていた。

 無事に渋谷駅に辿り着き、溢れ出ていく人込みを避けながら、何とか列車に乗り込み、何度も何度も乗り継いで、ようやく落ち着いて座ることが出来る乗客数も少ない列車に乗ることが出来た。

 電車に揺られながら、彼女は今日の事を思い出していた。

 突然呼び出して、連れ回すような形になってしまったが、それでも彼と一緒に過ごせた時間がとても楽しかった。

 一緒に歩いているときも、買い物で真剣に商品を選んでいる彼の横顔を見たときも、自分の心の奥が少し熱くなっているも感じていた。

 今日、彼を呼び出したのは他でもなく、自分の気持ちを確かめるためだったのだ。

 彼と過ごしていると胸が高鳴って、彼ともっと一緒にいたいという気持ちがどんどん溢れ出てきてしまうことに金村は気づいてしまった。


 だが、この気持ちは絶対に気付かれてはいけない。


 自分の恋愛と友情を秤にかけたとき、彼女は長年ともに時間を過ごしていた小坂との友情を選んだ。

 これでいいんだ。そう自分に言い聞かせながら、彼女は流れていく街の景色を電車の中からぼんやりと見つめていた。

■筆者メッセージ
私は推しメンを悲劇にあわせたがる傾向にあるようだ…。
黒瀬リュウ ( 2021/11/03(水) 17:00 )