第一章『絶対命令』
11
病院に駆けつけてみると、そこにはあられもない親友の姿があった。

体中に包帯を巻きつけられ、口には管が取り付けられ、昏睡状態にあった。


「どうして・・・」


数日前に見た彼の姿は、まだ少し希望がある様子だった。

そんな彼が自殺未遂を行おうとするだなんて、俊哉には信じられない現実だった。

それから彼は親友の事故の真相を探った。

そこで浮上したのが、女王中井による残酷な仕打ちだった。

俊哉と対話をした翌日、太輔は久しぶりに学校に向かった。

その道中で、彼女とその取り巻きたちと遭遇してしまったのだ。

彼女は太輔に大金をぶら下げ、それで母親の治療をしてあげろ、その代わりとして、自分の靴を舐めろと言ってきたのだ。

中井の実家は地主ということもあり、莫大な資産を持ち、また老舗の和菓子店を営んでいた。

太輔は一度断ったらしいが、家族のことを引き合いに出され、悩みに悩んだ。

そして、彼女の靴を舐めてしまったのである。

その時の彼の気持ちが俊哉には痛いほどわかった。

家族のためとはいえ、金に目がくらんでしまった自分を太輔は許すことができなかったのだろう。

そして自殺未遂をした。

親友に何が起きたのか、すべてを知った時、俊哉には怒りと憎しみの心が込み上げてきた。

必ず中井に地獄を見せると。

親友が味わった以上の地獄を、あいつに味わわせてやると、俊哉は心に誓った。

■筆者メッセージ
ようやく始まりますよ。復讐が。

作品に関するご意見やご感想、その他等々のコメント、またリクエストなどお待ちしております。
黒瀬リュウ ( 2017/06/28(水) 13:36 )