第五章:理想と現実
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「じゃあ九月までのお小遣い、一人五千円ずつね」

 四人は相談しあった結果、まとまった金が手元にあると、誰かが使いかねないということで、第三者に預けることにした。一番彼らにとって身近な存在といえば、行きつけの喫茶店、NEW SHIPのマスター、林田であった。

「二万九千五百円。預かるのはいいけれど、これで九月までやっていけるの?」
「家賃も三か月先払いしたし、光熱費とか水道代とかもちゃんと引きましたし」
「あっ、ここのコーヒー代もちゃんと払えまっせ」
「そっか、なら安心だね」
「よし、早速ですが今日の食費として四百円いただきますね」

 栄介はテーブルの上に置かれてある小銭を取った。その様子を見ていた林田は煙草を吸いながら、彼らに尋ねた。

「自炊するっていうからには、米味噌ぐらいはかってあるんだろうね?」

 林田の言葉に四人は固まったように動かなくなってしまった。そんな彼らを見た榛香はくすくすと笑っていた。

「ええっ、買ってないの?何食べるつもり、君ら」

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 大事なことをすっかり忘れていた彼らは、NEW SHIPを後にし、祐二が働く岩田商店に足を運んだ。

「じゅ、十キロ千五十円・・・!?」
「小遣いの中から出し合わせて買うしかないね・・・」

 しかしそれで九月まで持つかといわれると、どうすることもできない。困った彼らは店の前で立ち尽くしていると、中の店員たちから冷たい視線を向けられていることに気付いた。
 明らかに冷やかしは帰れという無言のメッセージだった。

「あとで・・・また来よう・・・」

 店の前から彼らが立ち去った後、ちょうど入れ違いで祐二が配達を終えて帰ってきた。
 とぼとぼと歩く四人の背中を見つけた祐二は、心配そうにその背中を見つめていた。

■筆者メッセージ
お金のやりくりが厳しい…。
今月すでに大ピンチを迎えております…(笑)

ちなみに本日(2016/11/14)はAKB9期生がデビューして7周年の日。
今やAKBを背負っている彼女たち。
今思うと、本当にすごい人ばかりですよね。
キャプテンを任されたり、副キャプテンをやったり、総監督をやったり。
彼女たちが次のAKBを何とか引っ張って行ってくれるのではと、ずっと期待しています。

さて、みーおんをどのタイミングで入れようか・・・www

作品に関するご意見やご感想、その他等々のコメント、お待ちしております。
黒瀬リュウ ( 2016/11/14(月) 10:49 )